日本財団 図書館


 

第5 今後の展望、課題
日本の他のウミガメ上陸地はその保護をボランティアなどに依存しているところが多い。これに対し、日和佐町の場合、ウミガメの保護に行政が直接取り組んでいるのが特徴である。取り組みも町ぐるみであり、天然記念物でもある文化資源を自ら守ろうという姿勢がうかがえる。
ただ、カメの行動範囲は極めて広く、日本で標識を付けたカメが米国などで見つかっている。それだけに、保護の輪を地球的な規模に広げていく必要がある。
日和佐町での産卵の公開について、他の上陸地の研究者などの間に動物の厳粛な営みを客寄せの手段にすることは好ましくないという批判があるのも事実である。この点について、近藤和義町長は「産卵の見学を通じて、自然保護への関心を高めたい」と語る。
自然保護と観光振興が両立しているかどうかを判断するのはまだ早い。それは、今後の町の姿勢次第である。それには、ウミガメ博物館での研究体制をさらに充実させる必要がある。太平洋を1,200?q以上も遊泳して再び同じ海岸に戻るといわれる回帰研究のための標識調査などにも取り組みたい。
今後、見学者が野放図に増えてきた場合、カメの産卵行動への影響も危惧される。将来は1回の見学者の人数を制限するといった措置が必要になるかもしれない。

 

〔参考文献〕
アガウミガメ−徳島県日和佐海岸における生態研究の記録−、近藤康男、1968年
日和佐町史、日和佐町、1984年
町勢要覧ひわさ、日和佐町、1990年
日本のウミガメの産卵地、日本ウミガメ協議会、1994年
過疎地域活性化計画、日和佐町、1994年
私のウミガメもどっておいで、中東覚、文渓堂、1995年
日和佐町振興計画、日和佐町、1995年

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION